童貞卒業は出会い系での年上のフリーター女性

その女性は、私の実家から2時間ほど離れた町に住んでいる

5歳くらい年上のフリーターの女性だった。

簡単に会える距離ではないものの、深夜バスで行けば行けない

ことはない町だった。写メも交換しておらず、お互いの容姿も

分からなかったが、週末という事もあり彼女から「泊まりに来ないか」

と連絡があったのだ。女性の家にお泊り・・・私のイチモツは音を立てて

膨張し続けた。バッキバキの童貞ではあるが、直感が「この女性はエロい」

と教えてくれている。たとえどんなにタイプの見た目でなくても、

私はこの“Y”という女性に全てを捧げる覚悟を決めていた。

 

なぜ、突然Yが私にアポを取ってきたかというと、私の住んでる町に

Yの姉の旦那が出張できており、私を拾ってYの住む町まで帰るという

提案をしてくれたのだ。初対面中の初対面であるYの姉の旦那ではあるが、

ありがたいオファーなので、快く乗車させていただくことにした。

出会い系サイトで出会ったというのは恥ずかしいので、その旦那さんには

“前からの友達”ということにした。金曜の夜20時。静かに雪が降り続ける中、

私は“同じ部活の友達の家に泊まりに行く”と母親にウソをつき、

最寄りの駅(歩いて30分)へと向かった。Yの姉の旦那が迎えに来て

くれるまで、色々な不安が襲ってきたが、とりあえず一番お気に入りの

ジーンズを履いて、Yに見せたいCDやマンガを詰め込んだリュックサックを

背に、無人駅で1人、白い息を吐き続けた。

 

10分くらい待つと、雪道をとんでもないスピードで走ってくるワゴン車が

見えてきた。社外にも響くような重低音を響かせ、腹下からは青白いネオンの

光が見え隠れする、とってもヤンチャな車だった。Yの姉の旦那

「〇〇くんだよね、Yの友達の」私「よろしく・・・おねがいしましゅっ・・・!」

寒さと、ヤンチャな車への恐怖で口が回らなかったが、切れ長の目をした

迫力のある男性が助手席に乗るよう促してくれた。2時間も二人きりになるのは

とても気まずかったが、「寝てていいよ」と言われたのでずっと寝た

ふりをしていた。車内ではとんでもない音量のユーロビートが流れており、

旦那さんもノリノリなご様子だった。これから卒業するかもしれない

高揚感と、大爆音のせいでとても眠ることはでいなかったが、猛スピードで

飛ばしたおかげか1時間半ほどでYの自宅に着いた。

 

旦那さんの後ろを着いて行き、古びた公営住宅の階段を上る。旦那さんは

鍵を開けて「おっすー!」と少し大きな声を出した。「こんにちは!」

リビングのソファから顔だけこちらに向けて声をかけてくれたのは、

八重歯が印象的な少し派手目の女性。しかしそれはYではないと一目で

わかった。思い切り妊娠していたからだ。Yの姉であり、もちろん

旦那さんの奥様。臨月で里帰り出産のため、Yの住む実家に帰省しており、

週末会いに来る旦那さんの車に私が同乗させてもらったのだった。

「Yまだ帰ってきてないんだよね!Yの部屋で待ってな!」

 

気さくなお姉さんは和室の方を指さした。私は軽く会釈をして、

Yの部屋に入った。Yの部屋はタバコと芳香剤の香りが混じって、なんだか

頭がクラクラするような雰囲気だった。壁には当時人気だったビジュアル系

ロックバンドのポスターが貼られており、化粧道具や読みかけの雑誌などが

無造作に散らばった、とてもキレイとは言えない部屋だった。

Yの顔写真などは見つけることができず、あまり物音を立てることも

できないので、私はベッドの横で座り込んでいた。

 

Yの姉は美人とは言えないが、愛嬌のある顔をしていた。血のつながった

妹であれば、とんでもない不細工ではないことが期待できる。

つい2時間前まで、自分の部屋で悶々としていたのに、今は見知らぬ

女性の部屋にいる。色々なことを考えていると、玄関のドアが開け閉めされる

音が聞こえてきた。和室のふすまが開くと、真っ青なモコモコのパーカーに

身を包んだ、金髪の女性が入ってきた。寒い外から帰ってきたので顔は少し

赤くなっているが化粧をしている様子はほとんどなく元カノのドッスンよりも

強面な女性だった。

 

私「はっ・・・はじめまして。」Y「どーも、結構待った?」Yは非常に

気さくな感じで、パーカーを脱ぎながらせっせと部屋着に着替え始めた。

本当に、ずっと前からの友達のように自然に、初対面の私が部屋にいても

全く動じることなく、タバコに火をつけた。逆に私は緊張がピークになり、

暖かい部屋でずっと待っていたのに、顔が真っ赤になっていた。

Y「なに?ブサイクだから帰りたくなった?」私「いや!いやいや!

そんなことはないです!」Y「もうバスも無いから、帰るの無理だしね。」

 

タバコをふかして私をからかうYは、場末のスナックのママのような

雰囲気だった。そして、大きめのTシャツの胸元からは、とても豊満な

バストが見えており、Yの吐き出すメンソールの煙と相まって、私は

本当に気絶しそうになっていた。Y「1本吸うまで待ってね。」

何を待つの?私は全く動けないまま、タバコを吸うYをチラチラ見ていた。

ドッスンより怖い顔はしているものの、その時の私にとっては、世界で

一番魅力的に見えていたのだ。Yとの出会いはもう20年以上前の話だが、

今でもその表情は焼き付いて離れない。とにかく妖艶で、ミステリアスで、

意識を保つのが精いっぱいだった。

 

Yがタバコを灰皿に入れ、少し体をのばした。私は完全に硬直していた。

Y「女の人としたことあるの?」私「えっ、なっ、なにを?」頭では

分かっていたが、思わず聞き返してしまった。Y「フフフ・・・ないんだ。」

そういうと、Yは私のジーンズのファスナーに手を伸ばした。

――― オーマイガッ!私は反射的にYの手を払いのけてしまった。

一番期待していた展開が、あっという間に訪れたというのに、あまりに

突然だったので、つい拒否する姿勢を見せてしまったのだ。

Y「えっ、しないの?」私「いや!えーっと・・・よくわかんないけど・・・」

 

一生で一番動揺している私を尻目に、Yは中島美嘉のCDを大音量で流し始め、

部屋の電気を暗くした。間接照明をつけると、大きめのTシャツを脱ぎ、

ブラジャーも外している様子だった。私のイチモツはジーンズを突き破り

そうな勢いであり、“童貞卒業”が目前に迫っている興奮が私の思考回路を

完全に停止させた。Y「動かないで。」Yは私を仰向けに寝かせ、ジーンズに

再び手をかけた。やっぱりダメ!私はYの手を再び払いのけてしまった。

完全に頭と体が分離している。しかし、ここで卒業のチャンスを逃せば、

私はおそらく向こう10年は童貞のままだ。脱がされるのが恥ずかしいなら、

自分から脱げばいい。童貞の私は意を決して、上着を全て脱ぎ、

上半身裸になった。毎日部活で鬼のようなトレーニングをしていたので、

体はかなり引き締まっていた。

 

Y「かっこいい体だね・・・」Yは私の腹筋を触ってきたが、私はその手も

払いのけてしまう。そしてYを押し倒し、そのまま自分でジーンズと

トランクスを一緒に降ろした。やっほーぃ!待ってましたと言わんばかりに

私のイチモツが飛び出した。Yにイチモツが当たらないよう気を付けながら、

Yのズボンに手をかける。Yは何も抵抗せず、むしろ少し腰を浮かせて、

スムーズに全裸になってくれた。お互い生まれたままの姿となり、

私はいよいよ卒業の時を迎えようとしていた。

 

Y「・・・待って、ゴムつけて。」Yは私の体を押し返すと、ベッドの下から

コンドームを取り出した。しかし、バキバキの童貞であり、予備知識の

ほとんどない私はそこで、とんでもない事を言ってしまった。

「あっ、大丈夫です。エイズじゃないんで。」

そう、私は進学校でも常に5本の指に入る秀才だったのにも関わらず、

コンドームはエイズ予防のための物としか認識していなかったのだ。

避妊の事など全く理解しておらず、ましてや純粋たる童貞なので、

エイズや性病の可能性は皆無と思い、Yのコンドームを断ってしまったのだ。

 

Y「えっ、どういう事?」私「エイズとかは・・・本当にないと思います

(童貞なので)。」私は再び力任せにYを押し倒し、中島美嘉の音楽に

包まれて、童貞を卒業した。私の場合、童貞というより“射精”も人生で

おそらく初めてだったと思う。腰の振り方もよく分からず、どうすれば

Yが満足するかも分からなかったが、とりあえず射精後に急にイチモツが

だるくなったので行為をやめた。コンドームもつけず、そのクライマックスが

いつ訪れるのかも分からなかったので、当然Yの中でぶちかましてしまった。

Yはすごく怒っていたが、こちらも人生初の“賢者タイム”に入っていたので、

Yがなぜ怒っているかもどうでもよかった。

 

Y「やっぱり、初めてだったんでしょ?」私「いや・・・初めてでは

(射精すらしたことありません。)」Y「大事なもの奪っちゃったね。」

チュッ――Yは私が童貞なのを理解し、中で果てた事も了承し、

賢者タイムの私に大人のキスをしてくれた。それは紛れもなく私の

“ファーストキス”であり、私はこの10分間で“キス・射精・性行為”のお初を

3つも、Yに捧げてしまったのである。出会い系サイトで知り合った女性に、

会ったその日に童貞を奪われるなんて、こないだまでは想像もしていなかったが、

いざ卒業してみればどうでもよくて、隣で眠っているYの裸を見るとイチモツが

すぐに復活して、結局その日は6回ほどYにお相手頂いた。2回目からは

強制的にコンドームを付けられ、5回目くらいで

「まだヤリたいなら彼女にしてね」と言われた。

もちろん交際を了承し、その日は無心で腰を振り続けた。

 

結局、Yとは3ヶ月ほど交際し、ある日突然他の男に寝取られた。

まあ、出会い系サイトで見ず知らずの男を部屋に入れるような女性だから、

私の他にも交際している男性はたくさんいたのかもしれない。ただ、

Yの姉の旦那の車で毎週末泊まりに行き、2日間で10回ほどお相手して

いただく生活が3ヶ月続いたので、私の無尽蔵な性欲は行き場を無くし、

Yと別れてから私は初めて“ソロ活動”を行った。

ソロ活動⇒ファーストキス⇒性行為という男のステップを、

私はキレイに逆行した。

 

ただ、いくらソロ活動を行っても、心の穴は埋まらなかった。

ドッスンと別れた時は出なかった涙が、Yにフラれた時は止まらなくなった。

Yに会いたい・・・というより、Yとヤリたい・・・。Yにつけられたキスマークが

消える頃、私は眼鏡をコンタクトに変え、服装も一新し、リア充への道を

歩むことを決めた。2時間も離れた町の女性なんかではなく、気軽に会える

女性を彼女にして、そして、ヤリまくるんだ。私は師匠に卒業報告し、

Yの名前が入ったアドレスを変更し、桜が咲き始める春を迎えるとともに、

出会い系サイトを再開した。

 

今考えるとYは、出会い系サイトで出会う女性の中では“当たり”の部類だった。

胸は大きく、具合も良かった。なにより会ってすぐに関係が持て、

あっという間に消えていった。最後まで正式な年齢も、正直本名も

分からなかったが、おそらくは単純に欲求不満であり、毎日トレーニン

している高校生である私の体に魅力を感じてくれたのだろう。

お互いがまさに“体目的”で交際していただけなので、デートもほとんど

したことはなかったが、Yは間違いなく私の“初恋の人”であり、

20年以上経った今も、たまに思い返す女性の一人である。